オフィス樹の歩み

 1990年、演劇企画「樹の会」を発足。他劇団及びプロデュース公演の制作を手がける。1992年「樹の会」改め、自主公演を目的として演劇企画制作集団「オフィス樹」設立。
 以来、「家族」をテーマに「家族シリーズ」として、創作劇の上演を続けている。1997年稽古場も占有する。益々活気あるオフィス樹のあゆみである。
 代表作として「パンドラの箱」「アリバイ屋の亭主」「文部大臣の歯ブラシ」「蟻たちへの伝言」(第10回東京都池袋演劇祭 優秀賞)「ハルピン帰りのヤスケ」(第13回池袋演劇祭大賞受賞)、2006年には、15周年記念公演「オホーツクの女」を上演。
 また、演劇以外に『オフィス樹特別企画』として噺家の三遊亭円窓出演による「語りの会」を上演している。
 札幌ライブと銘打っての札幌公演も4回目となった。

代表 平樹 典子

下丸

ハルピン帰りのヤスケ ~戦場に踊る男~

【企画意図】
 オフィス樹は、創立以来、現代社会に即した「家族」をテーマに「家族シリーズ」と銘打って毎回、創作劇の上演を続けています。
 今回の作品「ハルピン帰りのヤスケ」~戦場に踊る男~」は2001年、オフィス樹創立10周年記念公演として上演され、同時に第13回東京池袋演劇祭にて、参加劇団47団体の頂点に立ち、「大賞」を受賞した作品です。また、2002年には「大賞」受賞記念公演での再演となり、多くのお客様に感動を与えました。この作品はオフィス樹の代表者でもある平樹典子が、実父をモデルに書き下ろした作品で、文学座の演出家、岩村久雄氏の脚本協力を得ております。
 作品のテーマは、高度成長期の真っ只中にある、1970年(昭和45年)を背景に、生きるか、死ぬかの戦後の混乱期を、黙々と働き続けた親達と、急速な経済成長によって安泰浸かって生きる子供達との葛藤を軸に、安来節(どじょう掬い踊り)一本で過酷悲惨な戦争をくぐり抜けてきた一庶民の男の生き様を通して、親子とは…家族の絆とは…そして、戦争とは…を問う人間ドラマとして、企画したものです。
 世界が荒れている今、この作品を一人でも多くの人々に見てもらいたい舞台です。

 

ヤスケ

【あらすじ】

 昭和45年を舞台に、東京の下町にある商店に「ハルピン帰りのヤスケ」と呼ばれる、金森源三の総菜屋がある。今では妻のみつえに店をまかせ、源三は安来節で施設を訪問して歩いている。みつえは、公務員の長男伸一に店を継がせたいと願っているが、伸一はまったく継ぐ気などない。OLの長女は不倫の恋に走り、次男の啓太はフォークシンガー志望の風来坊。
 だが、源三が十数年前に連れてきた店員の正男だけがみつえを助け、個人商店の主要な働き手となっている。高度成長期の、ある程度の余裕とゆがみも孕んで、今や家族もバラバラ。そこに追い討ちをかけるように、源三の税金滞納の知らせや、長女の不倫相手の妻が乗り込んでくるなど、金森家も崩壊寸前。そんな中、源三は施設訪問中に心臓発作でたおれてしまう。
 やがて…安来節一本で悲惨な戦争をくぐり抜けてきた源三の生きざまから深い心の闇が解き明かされていく。

下丸

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